日本人のためのFreeMindの使い方(2/2)

日本人のためのFreeMindの使い方(1/2)では、日本語と英語の文法の違いを比較して、上位概念から並べていく英語の語順がマインドマップの書き順に似ている点に注目しました。

ここからは、英語的なマインドマップの書き順と日本語的なマインドマップの書き順を比較して、日本語に適した思考整理の手順を提案します。

日本語と英語のマインドマップの書き順の比較

まず日本人の場合から。何人かの日本人が「オーケストラの編成」をマッピングしようとしている場面を想定します。その場面では、まずはみんなで右図のように思いつくままにパートを書き出していくことでしょう。(アイデア出し)

オーケストラ

そのうち、大輔くんが「似たもの同士でくくったほうがよくない?」と提案してくれます。彼は、似たもの同士を表す単語とパートを表す単語を分けて、別の紙に書き直してくれるでしょう。(レベル分け、グループ分け)オーケストラ

レベルとグループが分かれると、急にアイディアが出やすくなります。そこからは五月雨式にアイディアが出てきます。そこで、今度は字のきれいな花子さんが清書してくれて、右図のようなマップが出来上がります。(レベル、グループに応じて、アイデア出し)

オーケストラ

次に、英語の場合。同様に何人かのメンバーで「オーケストラの編成」をマインドマップにまとめようとしている場面を想定します。

おそらく最初にペンを持ったジョンが「オーケストラには大きく4つのパートがあるよね」といきなり右図のように書き始めます。(レベル分け、グループ分け)

 オーケストラ

あとは、各々がそれぞれのパートを書き足していくだけです。途中、実はハーピストだったメアリーが「ハープが入るところがないわ。曲によってオーケストラに加わる楽器を『編入楽器』っていうのよ。」とかなんとか言いながら、「編入楽器」-「ハープ」などと書き足してくれるかもしれません。(アイデア出しとレベル分け・グループ分けの同時並行)

かくして下図のようなマップが出来上がります。

オーケストラ

この2つの作成プロセスを見比べてみましょう。私が皆さんに見比べていただきたいのは、「弦楽器」、「木管楽器」などの上位概念を表す単語の位置です。

英語圏の人たちのマップは上位概念の単語の位置が変わらないのに対し、日本人のマップは変わるのです。(もちろん、先の例は、わかりやすいように極端に簡単にしてありますから、「オレなら大輔じゃなくてジョンだな」などと、ほくそ笑んで読み飛ばさないでください。)

私たち日本人は、最初のアイデア出しの段階では、何が上位概念なのかをあまり意識して考えません。ところが、上位概念、下位概念がごちゃ混ぜになってくると、さすがに気持ち悪くなってきます。そこではじめてレベル(上位と下位)とグループを分けます。グループができると再びアイデアが出てきます。

このように、私たち日本人は、「アイディア出し → レベル分け、グループ分け → アイディア出し → ・・・」というように、「アイデア出し」と「レベル分け、グループ分け」を交互に繰り返しながら思考を整理します。裏を返せば、

日本語で考える私たちは、書き直したり、並べ替えたりしないと思考整理しづらい

ということです。

手書きマインドマップは身につかなかったのに、FreeMindは使えるようになった

という反響の理由は、ここにあります。

日本人向け思考整理ツールとしての使い方

「アイデア出し」と「レベル分け、グループ分け」を交互に行えるツール。書き直したり、並べ替えたりすることができるツール。それが、私にとってFreeMindでした。

たまたまマインドマップを習ったおかげでFreeMindを知ることになったわけですが、今ではFreeMindをマインドマッピングツールというよりも、後からレベル分け、グループ分けができる日本人向けの思考整理ツールとして活用しています。

手を動かしながら考える企画提案-アイデアがみるみるカタチになるFreeMind仕事術日本人向けの思考整理ツールとしてFreeMindの使い方を解説したのが、FreeMind活用ガイド手を動かしながら考える企画提案-アイデアがみるみるカタチになるFreeMind仕事術」です。詳しくは、同書のp14-19をご参照ください。

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